
世間ではダイエットについて常に取り上げられており、独自のダイエット法が次々と紹介されていますが、それとは正反対の悩みが「太りたいのに太れない」。
真剣に悩んでいるのに、周囲に話すと「いいな~」と羨ましがられたり、時には嫌みと取られてしまい傷つくこともあるのではないでしょうか。
そんな方のお悩みを、管理栄養士の私が解決!「健康的に太る食事」をご紹介します!最後に、写真付きでイチオシレシピの作り方も掲載してます!
目次
太れない原因~なんで私って太りにくいの?~

「太りたいのに太れない!」そんな悩みを持っている皆さんは、なぜ自分が太りにくいか、ご存じですか?その原因により、対処法も変わってきます。
ここでいくつか太りにくい人に考えられる理由を説明します。
規則正しい食生活をしている
ダイエットをしているつもりはなくても、日頃から健康的な食生活を無意識に心がけている、そんなことはありませんか?
「間食をしない」「3食食べる時間が決まっている」「遅い時間に食べない」など、きっちりとした食生活をしている人は、太りにくい傾向にあります。
他にも自分に合った食事量を守っている人も太りにくいです。

あまりに「規則正しすぎる」のも、考えようなんですね・・・。

不規則な食生活や暴飲暴食はよくありませんが、健康的に太るためには、間食をしてカロリーを増やすことも大事です!
②消化・代謝能力が高い
大腸にビフィズス菌などの善玉菌が多いと、普通の人より排泄がスムーズになります。余分なものは体に吸収されないまま大腸に送られ排泄されるため太りにくい仕組みです。
ビフィズス菌というとヨーグルトを思い浮かべる人が大半ですが、ヨーグルトだけではなく、こんな栄養素も関係しています。
・食物繊維
野菜や海藻、豆に多く含まれており、腸内をきれいにする
・オリゴ糖
ビフィズス菌を増やすはたらきがあり、野菜・豆に多く含まれる
上記の食品をよく食べる人は、普通の人よりビフィズス菌が多いため太りにくいと考えられます。
また、玄米や押し麦は、白米に比べ食物繊維が豊富に含まれているため、普段から雑穀米などを食べている方も同様の理由が当てはまります。
③胃下垂
胃下垂とは、胃の形が何らかの原因で変わってしまい、胃の曲がり角の部分が、おへそよりも下に落ちしまったような状態です。お腹がポコっと出てしまうことが多いので、胃下垂かどうかは自分でも判断しやすいのではないでしょうか。

よく「胃下垂の人は太らない」なんて聞きますよね。
太りにくい体質には理由があります。胃下垂は、十分に吸収が行われていないため太りにくいと言われていますが、その分必要な栄養素も吸収されていないため、栄養が足りていない事が多くあります。
そのため、胃下垂の人はお肌の調子が悪かったり、疲れやすかったり、便秘など、デメリットもたくさん。決して羨ましい体質ではないのです。
④肥満遺伝子
最近メジャーリーガーが出演しているCMを筆頭に、遺伝子検査がブームとなっています。痩身エステでは肥満遺伝子検査つきプランもあり、遺伝子型を踏まえた施術をしてくれるところもあるほどです。
肥満遺伝子検査は、日本人の多くが持っている肥満遺伝子3種類を検査し、それぞれどのタイプかを判定します。
▼肥満遺伝子の種類
- β3AR(りんご型) 日本人の約34%が該当
- UCP1(洋なし型) 日本人の約25%が該当
- β2AR(バナナ型) 日本人の約16%が該当
β3AR(りんご型) 日本人の約34%が該当
糖質代謝が苦手で、太りやすい体質です。
お腹周りが太りやすく、りんごのような体型に見えるため、りんご型と呼ばれる遺伝子。りんご型の遺伝子を持っている人は、遺伝子を持っていない人より1日の基礎代謝量が200kcal少ないと言われています。
UCP1(洋なし型) 日本人の約25%が該当
脂質の代謝が苦手で、りんご型ほどではないですが、太りやすい体質です。
皮下脂肪が付きやすく、太ると下半身がどっしりと見えるため、洋なし型と呼ばれる遺伝子。 特に女性に多いタイプです。洋なし型の遺伝子を持っている人は、遺伝子を持っていない人より1日の基礎代謝量が100kcal少ないと言われています。
β2AR(バナナ型) 日本人の約16%が該当
細身の外見から、バナナ型と呼ばれる遺伝子。
バナナ型の遺伝子を持っている人は、遺伝子を持っていない人より1日の基礎代謝量が200kcal多いと言われています。
得な遺伝子に見えますが、筋肉が付きにくく、脂肪燃焼も不得意なので一度太るとなかなか痩せません。
太りにくい体質の人は「バナナ型の遺伝子」に当てはまっていることが多いです。
※肥満遺伝子の検査は自宅でカンタンにできます!
上記でも記載したように、今や遺伝子検査のハードルは下がっており、自宅で簡単にできる時代になっています。 頬の粘膜をこすって採取するだけの、痛みのない簡単な検査なので、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

私も学生時代、肥満遺伝子の検査をしたのですが、残念ながらりんご型でした。
健康的に太るための食事
ここからは、太りたい人におすすめの食材を紹介していきます。
先ほどご紹介した太りにくい理由も踏まえて、自分に合った食材を食卓に取り入れてみて下さい。
餅

体重を増やすには、やはり「炭水化物」が一番!
その中でも日本人の主食、米類は特におすすめの食品です。ここで、白米との栄養価を比較してみましょう。
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | |
---|---|---|---|---|
白米 | 168kcal | 2.5g | 0.3g | 37.1g |
もち | 234kcal | 4g | 0.6g | 50.8g |
表から分かるように同じ量でも、もちのエネルギーが高く、タンパク質、糖質も多くなっています。
また、デンプンの組成の違いも関係しています。白米(うるち米)にはアミロースが20%、アミロペクチンが80%含まれているのに対し、もち(もち米)はアミロペクチン100%のみ。
このアミロペクチンは消化が早く、また、もちはもち米を蒸してすりつぶして作られているため消化が良い食品です。
豆類

糖質だけを摂取しても健康的な太り方はできません。不可欠なのがタンパク質。
特に先ほど紹介した肥満遺伝子で、バナナ型の人は必見!筋肉が付きにくいので、人よりたくさんタンパク質を摂取したいところです。
タンパク質と言えば、ささみや胸肉が思い浮かぶ方も多いと思いますが、今回おすすめしたいのは豆類。ミックスビーンズを取り入れたサラダや、豆煮なども副菜に取り入れやすいメニューです。
また、豆腐や納豆、厚揚げのような大豆製品も簡単に食べられるので、手軽に摂れるタンパク源としておすすめです。
豚肉

同じくタンパク源としておすすめなのが「豚肉」です。
牛肉・鶏肉に比べ、ビタミンB1が豊富なことが特徴で、このビタミンB1は疲労回復に効果があるとされています。先ほど紹介した中で、胃下垂タイプの人で疲れやすさに悩んでいる人には、特に勧めたい食品です。
また豚バラ肉は脂身も多く、良質な脂質も程よく摂取できます。
ナッツ類

なかなかたくさん量が食べられない、少食な方におすすめなのが「ナッツ類」です。
一度にたくさんの量を食べられない人は、少しずつ何食かに分けて食べることも有効。その中で間食として、持ち歩きやすいナッツはおやつに優秀です。手軽に持ち歩くことができ、少量で良質な脂質だけではなく、ビタミンやミネラルもバランス良く摂取することができます。
脂質を摂りたいけど、脂っこいものは苦手、なんて方はナッツ類から脂質を摂取しましょう。
太りたい人必見!管理栄養士イチオシレシピ
ここまで様々な食材をご紹介してきましたが、実際どんな風に食卓に取り入れたらいいのか、なかなかメニューが浮かばない方も多いかと思います。
そんな方必見!管理栄養士が上記の太る食材をうまく取り入れた「レシピ」を2つご紹介します。
納豆チーズのモチモチ焼き

材料(1人前)
切り餅:100g
納豆:1パック
とろけるチーズ:10g
長葱:7~8cm
揚げ玉:10g
サラダ油:大さじ1
水:50cc
作り方
- 長葱は小口切りにする
- 切り餅は火の通りやすい大きさに切り、水50ccを加える
- 耐熱容器に入れ、500Wの電子レンジで3分加熱する
- [3]に納豆、付属のたれ、とろけるチーズ、揚げ玉、小口切りにした長葱を加え、軽く混ぜる
- 油をひき熱したフライパンに④を流し入れ、両面をこんがりと焼いたら完成
栄養価
エネルギー:534kcal
タンパク質:15.9g
脂質:25.7g
炭水化物:63.7g
食塩相当量:1.0g
おすすめポイント
食べ飽きてしまったお餅にもおすすめのレシピです。
納豆とチーズでタンパク質もしっかり補うことができます。納豆のたれを入れず、お好み焼きソースとマヨネーズで食べるのもイチオシ!
具材もキムチを入れたり、小エビを入れたりとまさにお好み焼きのようにアレンジが楽しめる一品です。
関西の粉もん文化のように、おかずとして白米と合わせることもできます。ただ、野菜が少ないため、おひたしやサラダなどと組み合わせましょう。食欲増進!野菜たっぷり!サムギョプサル

材料(1人前)
豚バラ肉:100g
人参:30g
長葱:20g
玉葱:25g
キムチ:50g
えごまの葉:4~5枚
サラダ油:小さじ1
★味噌:大さじ1
★コチュジャン:小さじ1
★はちみつ:大さじ1
★にんにく(チューブ):1cm
★生姜(チューブ):1cm
★胡麻油:少々
★いりごま:少々
★水:小さじ1
作り方
- 人参・長葱は千切りに、玉葱は薄くスライスして、500Wの電子レンジで1分加熱し、冷ます
- ★の調味料を混ぜて、サムジャンを作る
- 薄く油をひいたフライパンで豚肉を焼く。途中キッチンペーパー等で余分な油を拭き取る
- えごまの葉に豚肉、[1]の野菜、キムチを乗せ、[2]で作ったサムジャンを少々入れ、巻いて食べる
栄養価
エネルギー:544kcal
タンパク質:20.3g
脂質:41.4g
炭水化物:18.5g
食塩相当量:3.8g
おすすめポイント
韓国料理、サムギョプサルに不可欠な甘辛いサムジャンは、食欲がない時にもおすすめ!
キムチと合わせて、辛旨やみつきのメニューです。今回はシソ科で抗酸化作用の強いえごまの葉を使いましたが、クセがあり苦手な人はサンチュやサニーレタスを使用してみて下さい。お肉がメインですが、野菜もたっぷり!
一日に必要な野菜350gの「約1/3」を摂ることができます。
まとめ
管理栄養士の私が「健康的に太る食事」をご紹介しました!痩せたい人が多い中、太りたい!という悩みは少数で、ひとりで悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
数値や体型ももちろん大切ですが、一番は健康的であることです。体重だけを気にして暴飲暴食は避けて、無理なく健康的な体を手に入れましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。